ある日の工場。2バルブボクサーばかりに見えますが、昨日までは初代Kシリーズが3台入ってました。 20〜30年経っていても、ちゃんと整備できていれば実用上過不足なく使えます。これはどこのメーカーのバイクも同じなのですが、BMWは低年式車でも部品の供給が抜群に良いので助かります。逆にいえば、需要があるからメーカーは補修部品を作るわけです。 皆さん、どんどん乗ってダメになった部品を交換しましょう。そうすればもっと永く乗ることができますよ。
見た目は年式相応にくたびれた初期型のR80ですが、ちょっと普通じゃありません。実はこのエンジン、昨年急悼されたAMSフジイの藤井社長が組まれたものなのです。作業伝票の日付から察すると「最後の作品」に近いと思われ、クランクシャフトもバランシングされています。つまりエンジンを完全分解してから組立てられていることがわかりました。試乗してみると、アイドリングからピーク回転まで異常に軽く回り、軽い車体をぐいぐい引っ張っていきます。素晴らしい!
スペシャルパーツの使用や特殊な加工は一切無く、完全ノーマルエンジンですが、時間と手間と知識、もちろんそれに見合ったお金がかけられています。
自分もやったことがありますが、個々のパーツのバランスを正確にとり、
クリアランスを入念に合わせ、部品の芯をきっちり出して組まないとこうはなりません。
初期の馴らしが終わったところで私が担当させていただいたのは、バルブクリアランスやキャブの再調整。未作業だったブレーキのオーバーホールや電気系などをリペア。最後にオーナーにあわせて車体のセットアップを行いました。
名人の組んだエンジンはすばらしいものですが、定期的な調整をしなければ、調子を崩してしまいますし、足廻りがダメならその真価を発揮できません。オーナーと一緒にこの「名人の遺産」を維持していきたいと思います。
ヤフオクで買ったというR100RSの車検を持ち込まれたんですが…ブレーキマスターシリンダーのフタを開けたらびっくり。ブレーキフルードが醤油みたいな色だったので予想はしていましたが、1ミリ以上ヘドロが堆積しています。 このヘドロがシリンダーのゴムシールに噛んだら一発でブレーキが抜けますね。
一体何年ノーメンテナンスだったんでしょうか?出品者は個人ではなくて業者さんということです。本当かな?
もちろん完全分解してオーバーホールしました。
スターター(セル)モーターが回りっぱなしで止まらないということで入庫しました。分解すると、接点が溶着して張り付いていました。スターターリレーの焼き付きです。写真は無理矢理剥がしたあとなので離れています。
バッテリーが弱いのに無理にエンジンかけようすると、コイルの吸引力が弱く
点接触が悪いまま電気が流れます。すると接点がスパークして焼き付い
てしまいます。また、ブースター機能付き充電器で大電流を流しながらスタ-ターを回すと、接点温度が上昇して焼き付きます。
リレー接点が焼き付いて離れなくなると、スターターリレーには常時バッテリーからプラス電源が来ていますから、キーをオフにしようが回りっぱなしです。停めるにはバッテリー端子を外すしかありません。
リレー接点って、だんだん汚れて電気抵抗が大きくなり、電気抵抗が大きくなると熱を持ちやすくなります。これも焼き付きの原因です。長いスパンの消耗部品のひとつと考え、一度は交換しておいた方がいいでしょう。
エンジン不調のK100RSの入庫です。いろいろテストしてみましたが、どこも壊れていません。やっとわかった原因は、インジェクター(燃料噴射ノズル)の詰まりでした。 Kのタンクはアルミなので鉄よりは錆びにくい(錆びるときは錆びます)のですが、インジェクターが取りつけれらているパイプは鉄製です。このパイプはタンクより低い位置にあるため、ガソリンより重い水分がたまり、内側が錆びたようです。たまにエンジンをかけて走ってやれば、燃料が循環するのでここまではならなかったでしょうが、1年も動かさないとさすがに何が起こるかわかりませんね。

R100RSモノサスにケイヒンCRスペシャル。R100RSツインショックにケイヒンFCR41。R100CSにデロルトPHM40など、同時期にメインテナンスで入庫しました。パワーならFCR。かっこよさならデロルトかな?コストパフォーマンスの高いケイヒンCRもオススメです。お手軽な取り付けキットなどありませんから、カラーやケーブルは一品製作しました。ちゃんと取り付けて調整すれば、凄く乗りやすくてちょっと刺激的なボクサーにモディファイできます。
これはR90Sです。デロルトPHM38が標準装着ですがコンディションが悪すぎたので新品に交換しました。純正デロルトは、今でも(今のところは)BMWから新品が出ます。しかし、いつ廃盤になってもおかしくありません。キャブレターにも寿命があります。磨耗してガタガタのキャブは何をやってもダメです。思い切って、新品部品が出るうちに交換しましょう。
弊社の所在地は兵庫県です。神戸ナンバーを筆頭に、大阪・なにわ・姫路・京都・奈良・和歌山など関西ナンバーが一番多いのですが、メインテナンスのために遠方からもご来店いただいています。まことにもってありがたいことです。




